子供の頃からゲームが大好きだったのですが、もともとはゲーム会社に就職するつもりはありませんでした。
映画『インディジョーンズ』に憧れて、世界をまたにかけて遺跡を発掘する冒険者になりたくて、考古学者を目指して勉強していました。
転機は、大学3年生のとき。スーパーファミコンで発売された『ファイナルファンタジーV』との出会いでした。夢中になって遊んでいる中で「これって、どうやって作ったんだろう?」「自分なら、こういうアイデアを盛り込みたい」とか、生まれて初めてゲームを作るということを意識したんですね。その日のうちに「ゲームを生涯の仕事にするぞ!」と180度方針転換し、大学教授を目指して勉強していたのをやめて、ゲーム業界1本に絞って、就職活動をはじめました。
とはいえ、就職氷河期といわれる時代に入っていまし、特に技術を持っているわけでもなかったので、当時50社ぐらいに資料請求し応募もしましたが、なかなか内定はもらえません。そんなとき、たまたま『ファミ通』を読んでいたら、『鬼退治』という初代プレイステーションのゲームの広告が出ていたんですね。「なんじゃこりゃ?」と思って、社名を見てみると日本一ソフトウェアと書いてあって、また「なんじゃこりゃ?」。でも、当時はどこでもいいからゲーム業界に入りたかったので、とにかく応募をしてみたら、面接の案内が来て、現在の会長の北角に面接してもらいました。
面接では「日本一ソフトウェアを日本一にしてみせます!!」と言ったら、内定をもらえました。(※この手はもう通用しないと思いますので、あしらからず)
創業間もない頃で10人前後の小さな会社でしたが、小さいからこそ、大手よりもチャンスが多いと思い、縁もゆかりもなかった岐阜県での就職を決意しました。
一応、社長やっています。
うーん、なかなか難しい質問ですね。
会社が潰れるかもというときに『マール王国の人形姫』を発売して何とか生き残れたとき。はじめて電撃プレイステーションで表紙をもらえたとき。秋葉原で自分が開発に関わったゲームの発売日に行列が出来ているのを見たとき。『魔界戦記ディスガイア』が10万本以上売れて今までお世話になった方たちに「よかったね」と言っていただけたとき。ギネスを獲得したとき。
いろいろありますが、一番となると難しいですね。
私個人の最終目標は自社のゲームを通じて、アカデミー賞を受賞すること、ノーベル平和賞を受賞することなので、それが達成できたときに一番嬉しいになると思います。
無理して自分を作ったり演じる必要はありません。無理をすると、面接で緊張して結局自分を出し切れずに失敗しやすいですし、うまく入社したとしても演じた自分を維持しなくてはならないので、しんどいです。自信を持って、今まで培ってきた自分を見せるのが一番良いと思います。もし、それで入社できなかったとしても、たまたま相性が良くなかったのか、ご縁がなかっただけで、自分を否定する必要はありません。もっと自分に合った会社を見つけるチャンスだと思えばいいと思います。
学生さんに「学生時代に何をすればいいですか?」とよく聞かれますが、いつも「学生のうちにしか出来ないことを、できるだけたくさんしてください」と答えています。学業も大事ですが、部活やサークル活動、友達と徹夜で遊んだり、日本一周旅行したり……と、就職したら時間が無くて、なかなかできないことを、たくさんやっておくといいです。それが自分だけの経験や自信にもつながります。
あとは、“就職がゴールじゃない”ということですね。就職はスタートです。どこの会社に入って、何をするのか、成し遂げるのか?自分の将来の夢や目標を学生時代のうちに、しっかりと描いておくと、就職してから「あれ? 何のために働いているんだっけ?」と迷ったり悩んだりせずに済みます。これ、かなり大事です。
これからの就職活動が皆さんの夢や目標の実現につながることを願っています。